サン・ジャックへの道
久しぶりの更新です。

『サン・ジャックへの道』
コリーヌ・セロー監督 / シネ・スイッチ銀座

『女はみんな生きている』 のコリーヌ・セローが
サンチャゴ・デ・コンポステラ巡礼の珍道中を描きます。

三人三様にばらばらに暮らす仲の悪い3人兄弟のところに
母の遺言が届きます。
「遺産を相続するためには、サンチャゴ・デ・コンポステラの巡礼に
参加しなければならない。3人同宿で歩き続けること」

教養番組や文化雑誌にありがちな(?)、“癒し”とかの
紋切り型の巡礼物語でなくて、ホッとしました。
参加する9人の道連れは誰も彼も強烈な個性の持ち主で、
一歩も後ろに引かない。
家族の問題や病気との闘い、失業問題や失読症といった問題を抱え、
ぶつかりあう道中がアップテンポで描かれていきます。

場面と場面の間に、それぞれが寝ている間に見る夢が
シュールに描かれ、ひそかな願望が実現されたり、トラウマが解消したりします。
アップテンポのメインプロットとは違った、静かで穏やかな美しい場面。
すごくいいです。
この辺りはオペラの演出をしているコリーヌ・セローならでは。
夢の中に出てくる動物が、去年亡くなったベノ・ベッソン(夫)演出の『魔笛』に
出てくる動物たちにそっくりで、ひそかに心の中で追悼。
他にも演劇の舞台のように演出してある場面もあり、楽しめました。

フランスの国家による教育とはもともと、識字率向上のために
政教分離を徹底し、教育を担っていたカトリックを排除するもの
だったと聞いています。
ところが、この映画の中心人物となる失読症の男の子は
巡礼に参加すれば、字が読めるようになると思っている。
しかも彼はイスラム教徒で、サン・ジャック(サンチャゴ)をメッカと思いこんでいる。
この辺りに現在のフランスのあり様が重ね合わせられているように思います。

彼はどのようにして字が読めるようになるのか?
なぜ、字が読めるようになることが必要なのか?
前作につづくコリーヌ・セローのメッセージを感じました。

皆さんにぜひおすすめしたい映画です。
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by veronique7 | 2007-04-13 21:59 | 映画


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