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フランソワ・オゾン Le Temps qui reste
フランソワ・オゾンの新作 "Le Temps qui reste" (残された時間) を観てきました。
公式サイトは こちら。>>

31歳のモード写真家の男性が悪性腫瘍のあることを告げられ、残された時間のなかで
人生と、家族と、自分の幼年時代と、自分の周りの世界と…和解するというお話です。

フランソワ・オゾンの映画は何だかんだと見逃していて 『まぼろし Sous le sable』 しか
観ていないのですが、他の作品もポスターや予告編を見ていていつも思うのは
水色が好きなんだなあということ。
今回の作品も水色から青のバリエーションがいたるところにちりばめられて
水色が大好きなわたしはそれだけでも胸がいっぱいになってしまいました。

写真家の主人公にとって 「見る」 ということはとても大切なことのはず。
何を 「見る」 のかを追い続けているように思いました。
でもそのたどり方は静謐で、なんというやさしい、やさしい映画なのでしょう。

・・・・・・

共演のジャンヌ・モローがテレビ番組のインタビューで。

「彼はあんまりなんていうか、いい人じゃなかったのよ。
それで、人生を精算しなくちゃいけなくなる。
誰にも病気のことは話さなかったのに、お祖母ちゃんにだけ告げに来るの。
これがわたしの役なんだけど、
『どうしてわたしには話すの?』 って聞くと、彼は答えるのよ。
『あなたももうすぐ死ぬでしょう』 ってね。」

ぱたりと口をつぐむ彼女。
とても的を射ていると思った。この映画の核心をついている。

そして演技もとてもいいです。
彼女は最近、ジョゼ・ダイヤンという女性演出家とずっと一緒に仕事をしていて
オペラの演出をしたりテレビドラマに出たりしていたのだけど
ひさびさに他の監督と仕事している姿が見られて嬉しい。

ちょっと素っ頓狂な? ヴァレリア・ブルーニ・テデスキの演技も
いつもどおり冴えてます。
困惑ぎみながら、しみじみと深くやさしい目をするんだよね。
ああいう表情は彼女じゃないとできないなあと思いました。
母親の役は、ロメールの映画によく出ているマリー・リヴィエールです。
もう一度見に行っちゃうかも。
by veronique7 | 2005-12-08 04:19 | 映画


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