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焦燥のひまわり
再録です。(2004年8月13日)

今年はひと気のないパリで静かに過ごすつもりだったが
7月になって年上の友人マリーから電話がかかってきて

  ピレネー山脈のふもとの家があいているから来ない?

と言うので、ふたつ返事でお邪魔することにする。

とりあえず荷物をまとめてTGVで6時間。
トゥールーズ駅にマリーとその夫アントワーヌが迎えに来てくれていた。

家主であるマリーのご両親のところへ、挨拶がてら立ち寄って
お庭でアペリティフをいただく。
大きな木蔭で風に吹かれていると、マリーの甥にあたる
ちっちゃな男の子がやってきて 「オリーブをどうぞ」 とお皿を差し出す。
まだ幼稚園にも入らないぐらいなのに、その差し出し方たるや
お祖父ちゃまと同じように優雅でスマート。
この年齢にしてすでに中世騎士道精神なのか。

アントワーヌの運転する車で一面ひまわり畑のなかを S... 村へ向かう。
ひまわり畑しか、ない。
「先週だったらみんな咲いてたのよ」 とマリーが言うひまわりは
すでにしおれ始め、枯れ始めていた。

全員が同じ方向に頭を垂れてぎゅうぎゅうと寄り添い
太陽に焦がされ、灼けるような風景。
焦燥のひまわり。
すでに刈り取られた畑にばら色の西日がかかる。
ものすごくきれいだった。
by veronique7 | 2004-08-13 06:43 | フランス


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